耳鼻と臨床
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I. 頭頸部癌治療における分子標的薬の役割
甲状腺癌に対する分子標的療法
杉谷 巌
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2012 年 58 巻 Suppl.1 号 p. S3-S9

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抄録

全般に予後良好な甲状腺癌の中にあって、放射性ヨード療法が無効な分化癌(乳頭癌、濾胞癌)、低分化癌や未分化癌および局所進行・転移性髄様癌に対する新しい治療法としてチロシンキナーゼ阻害薬を中心とする分子標的治療が注目されている。髄様癌に対する vandetanib は phase III 試験における良好な成績に基づき、アメリカ食品医薬品局の承認を受けた。放射性ヨード抵抗性の分化癌を対象とした sorafenib、vandetanib による phase III 試験も開始され、日本からも国際共同試験に参加する施設が現れている。特異な副作用や作用機序の解明、効果を確実に予想できるバイオマーカーの開発など課題も多いが、今後の展開に期待が寄せられている。

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© 2012 耳鼻と臨床会
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