耳鼻と臨床
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I. 頭頸部癌治療における分子標的薬の役割
本邦における分子標的治療薬開発の現状
田原 信
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キーワード: cetuximab, panitumumab, HPV
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2012 年 58 巻 Suppl.1 号 p. S10-S15

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抄録

Cetuximab が、局所進行頭頸部扁平上皮癌の局所制御、生存への上乗せ効果、さらに遠隔転移再発頭頸部扁平上皮癌に対する生存への上乗せ効果を示した。FP 療法と FP + panitumumab とのランダム化比較試験(SPECTRUM 試験)における HPV 発現の有無による層別解析結果が報告された。PFS、OS ともに HPV 陽性患者では両群に差が認められなかったが、HPV 陰性患者では panitumumab 併用群において有意に優れていた。HPV 陽性頭頸部癌には EGFR 阻害剤は効果がないことが示唆される結果であり、今後の治療開発に大きく影響を与えるものと思われる。EGFR 阻害剤のみならずさまざまな分子標的薬剤の国際共同治験が行われている。海外とのドラッグラグを解消するためには、われわれも積極的に国際共同試験に参加すべきである。そのためには、国際共同試験に参加可能な施設も増やしていかなければならない。

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© 2012 耳鼻と臨床会
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