耳鼻と臨床
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ISSN-L : 0447-7227
原著
診断に苦慮した顎下腺 IgG4関連疾患の1例
小泉 優岩崎 宏山田 梢末田 尚之菅村 真由美上野 哲子宮城 司道中川 尚志
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2013 年 59 巻 4 号 p. 175-182

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抄録

症例は 50 歳、男性。慢性咳嗽とリンパ節腫脹が出現したため、内服加療を受けていた。 改善を認めなかったため、1 カ月後に紹介となった。血清 sIL-2R が 864 U/mℓ と高値であったため、悪性リンパ腫を疑って、リンパ節生検を施行した。病理診断はリンパ節炎であった。以後、外来で抗生剤投与を行ったが、改善を認めなかった。血液検査を追加、施行したところ IgG4 が 1,100 mg/dℓ と亢進していた。IgG4 関連疾患を疑い、再度全身麻酔下に顎下腺摘出術とリンパ節摘出術を施行した。免疫染色を行い IgG4 陽性形質細胞の組織への浸潤を認め、確定診断に至った。プレドニン30mg/day より開始し、2 週間で10 %の漸減療法を行った。顎下腺、リンパ節は縮小し、呼吸器症状も落ち着いた。IgG4 も 300 台まで低下を認めたが、完全寛解には至っておらず、プレドニン 20mg/day で維持している。

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© 2013 耳鼻と臨床会
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