抄録
カルチノイド腫瘍は、主に消化管などの原腸由来の臓器より発生する神経内分泌腫瘍であり、中耳では比較的まれである。今回われわれは中耳カルチノイド腫瘍を 2 例経験したため文献的考察を加えて報告する。症例 1 : 32 歳、女性。左耳内の掻痒感、拍動性耳鳴、耳閉感を主訴に先天性真珠腫疑いで紹介受診。鼓室内に黄白色の腫瘤塊を透見。CT にて鼓室内に骨破壊を伴わない腫瘍性病変を認めた。鼓室形成術、乳突削開術を行い、腫瘍の全摘出を行った。症例 2 : 45 歳、男性。耳閉感、外耳道に充満する腫瘤にて紹介受診。外耳道は腫瘍で充満し、鼓膜は観察不能。CT にて外耳道-鼓室-乳突洞に骨破壊を伴わない腫瘍性病変を認めた。全身麻酔下に試開を行い、外耳道の腫瘍、鼓室内病変を生検。その後再手術にて鼓室・乳突洞内を含めた全摘出を行ったが、広範な進展を認めたため、2 nd look 手術も行った。いずれの症例も再発なく経過観察中である。