抄録
【目的】伝統的な正月料理は地方によって入手しやすい食材に特徴があるのではないかと考えられる。しかし近年、核家族化や調理の簡便化などにより日本人の食生活が変化し正月料理の意味が薄れてきており伝統料理の伝承が危惧されている。そこで、鹿児島において正月に喫食する料理について調査を行い、正月料理の伝承やその内容について調べることを目的とした。
【方法】平成13年から平成19年の6年間、鹿児島県出身の短大女子学生を対象に、正月に食卓に並んだ料理とその食材,調味料,作り方について記述式で調査を行った。
【結果】平成13年と平成19年の手作り料理について比較するとおおよそ同じ傾向であり、その内容は、煮しめ・筑前煮が66~74%と大部分を占めた。煮豆は58~63%であり、雑煮は48~62%を占めた。雑煮は、干しエビや干し椎茸でだしをとり、豆もやし,茹で卵,里芋,さつま揚げなど具材を多く使用するのが特徴であった。上位を占める料理については、両年間に大きな相違はみられなかった。新澤ら(2001.日調科誌.vol34.No1)が石川県で行った調査における正月料理と比較すると、地鶏の刺身,金柑の甘煮,くじらのオバ,さつま揚げ,こが焼き,ねったぼなどの郷土の食材を用いた料理があがったことが特色であった。また、市販品の利用が増加しているのではないかと思われたが、両年とも約22%と鹿児島地方においては6年間での差はなかった。食の洋風化がいわれて久しいが、和食以外の料理の割合は平成13年に比べて平成19年は僅かな増加であった。