耳鼻と臨床
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Ⅱ.中咽頭癌に対する集学的治療
初回治療の選択と HPV 感染の関係
濱 孝憲
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2016 年 62 巻 Suppl.1 号 p. S17-S21

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抄録

HPV 陽性中咽頭癌は臨床像および予後において陰性例とは異なった特徴を持っており、HPV 感染の有無は既に治療の選択や予後を予測する上で不可欠なものといえる。初回治療として手術を先行した症例に限定すると無病再発生存は HPV 感染による有意差(log-rank:p=0.13)は認めなかった。次に HPV 陽性中咽頭癌症例に限定し転帰および予後を検討すると初回治療の選択により全生存および無病生存ともに統計学的有意差は認めなかった。化学放射線治療先行群では 46 例中 8 例(17.4%)、手術先行群では 33 例中 7 例(21.2%)に再発を認めている。手術先行群の方が再発率は高いが統計学的有意差は認めていない。また化学放射線治療先行群では 46 例中 5 例(10.9%)、手術先行群では 33 例中 2 例(6.1%)が原病死している。再発症例の救済治療後に関する生存解析では初回治療の選択により統計学的有意差(p=0.04)を認めた。HPV 陽性中咽頭癌で再発症例に限定すると救済治療後の生存解析において初回手術先行群が予後良好であった。

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