耳鼻と臨床
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Ⅲ.手術療法の新展開
咽頭癌の内視鏡治療
塚原 清彰
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2017 年 63 巻 Suppl.1 号 p. S66-S70

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抄録

本邦で行われている主な咽頭癌の経口切除方法は 3 種類ある。Transoral Robotic Surgery(TORS)、Endoscopic Laryngo-Pharyngeal Surgery(ELPS)、 Transoral Videolaryngoscopic Surgery(TOVS)である。本稿では内視鏡および顕微鏡下に切除した咽頭癌の 3 例を報告する。症例 1 は下咽頭左梨状陥凹癌の 58 歳、男性である。ELPS を行った。症例 2 は左中咽頭側壁癌の 51 歳、女性である。FK-WO リトラクターを使用し、顕微鏡下に切除した。症例 3 は中咽頭前壁癌の 74 歳、男性である。TORS を行った。 下咽頭癌では TORS より ELPS の有用性が高い。ELPS は佐藤式弯曲型喉頭鏡を用いて素晴らしい術野で手術可能なためである。一方、ロボットのカメラとアームの太さのため、FK-WO リトラクターでの視野は TORS を行うのに十分なものではない。中咽頭側壁および前壁癌には 3D カメラと可動域の広いアームを持つ TORS は有用である。TORS の問題点として保険適応外であることによる医療費と触覚の欠如がある。また、TOVS が下咽頭癌や中咽頭前壁癌に有効であるとの報告もある。外科医は各手技の特性を熟知する必要がある。

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