症例は 50歳、女性。1 年前から嚥下時違和感を認め、画像検査の結果、食道粘膜下腫瘍と診断した。腫瘍の増大傾向があること、乳癌治療歴があり転移が否定できないこと、嚥下時違和感などの自覚症状を有していたことから、治療目的に腫瘍摘出術を行う方針とした。腫瘍は食道筋層内に局在しており、摘出標本は 37 × 31 mm 大であった。術中所見および病理組織所見から頸部食道より発生した神経鞘腫と診断した。術後経過は良好で術後 10日目に退院となった。術後 10 カ月が経過した現在、再発所見は認めていない。今回まれな頸部食道神経鞘腫に対して文献的考察を行ったところ、上縦隔にとどまっている腫瘍については頸部切開のみで摘出可能であり、上縦隔から中縦隔にまたがる頸胸部境界部腫瘍の場合は症例ごとにアプローチ法を選択する必要があると考えられた。