2018 年 64 巻 5 号 p. 184-188
症例は 24 歳、女性で、小児期から続く嗄声、高音の発声困難を主訴に当科を受診した。 患者は出生体重 752 g の超低出生体重で出生し、出生直後から約 7 カ月間挿管治療を受けていた。抜管後から小さな泣き声は聞かれていたが、小児期には通常音声より低音の嗄声があった。当科初診時、声門後部間隙がみられ、披裂粘膜が声帯を覆い隠すように喉頭蓋喉頭面に接し、また左右仮声帯の過閉鎖所見も認めた。また、CT 画像検査では両側の甲状軟骨の後端から下角にかけて石灰化を認めた。輪状軟骨は甲状軟骨下角レベルで石灰化を認め、軟骨の歪みも著しかった。側面像では、高音発声時に喉頭全体の挙上がみられ、舌骨が甲状軟骨に接するような動きを認めた。新生児期からの長期気管内挿管により、声帯粘膜の層構造の発育が妨げられ、輪状披裂関節の構造変化や、輪状軟骨の歪みが生じている可能性が疑われた。これらの声帯粘膜波動障害、発声時声門閉鎖不全の代償として、発声時の声門上過閉鎖が生じていたと考えられた。