耳鼻と臨床
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原著
7.05 テスラ MRI を用いたガドリニウム鼓室内投与後のマウス前庭の観察
荒井 光太郎中村 学瀬尾 徹肥塚 泉
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2021 年 67 巻 1 号 p. 1-6

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抄録

はじめに:われわれは、7.05 テスラ(以下 T)MRI を用いてガドリニウム投与後におけるマウス内耳の内リンパ腔の描出について研究してきた。蝸牛においては、内リンパ腔は病理所見とほぼ同様に描出可能であったが、前庭については十分に検討できていなかった。本研究の目的は、MRI によってマウス前庭で内リンパ腔を視覚化することである。材料と方法:56 匹の C57BL/6 マウスを用い、ガドリニウム造影剤を鼓室内に注入し、1 − 2時間後に 7.05 T MRI を用いて前庭を撮像した。抽出した画像の蝸牛軸に水平かつ前庭水腫の最大径となる部位を選択し、Photoshop にて内リンパ腔と前庭腔のピクセル数を測定し、これより前庭における内リンパ腔の割合(内リンパ腔率)を算出した。結果:内リンパ腔は、すべてのマウス耳で撮像できた。平均内リンパ腔率は 0.419 ± 0.05、中央値は 0.420 であった。考案:生体マウスの前庭における内リンパ腔は、MRI によって視覚化することができた。この方法により、内リンパ水腫を呈する実験動物の内リンパ腔の形態学的変化を得ることができ、メニエール病におけるめまいの発症機序解明に役立つものと考える。

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