日本臨床外科学会雑誌
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症例
大腸亜全摘術を施行した慢性特発性偽性大腸閉塞症の1例
真鍋 高宏山崎 一麿新井 英樹塚田 一博
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キーワード: 慢性偽性大腸閉塞症
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2015 年 76 巻 4 号 p. 822-826

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抄録
症例は51歳,男性.4年前より,慢性的な腹部膨満感,便秘のため,当院外来に定期通院していた.排便コントロールは比較的良好であったが,1年前よりS状結腸軸捻転を頻回に繰り返すようになっていた.S状結腸および横行結腸を病変部位とするCICPと診断し,軸捻転の予防と腸閉塞症状の改善目的に大腸亜全摘術を施行した.経口摂取再開には時間を要したが,最終的に十分な食事摂取が可能となった.病理組織学的検査では,拡張部位にAuerbach神経叢および神経節細胞の萎縮と減少を認めた.現在まで,術後24カ月が経過しているが腸閉塞症状の再発を認めていない.本邦ではCICPの報告例が少なく,診断・治療ともに明確な指針がないのが現状である.大腸亜全摘術を行い,症状の改善を得ることができた1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.
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© 2015 日本臨床外科学会
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