2021 年 67 巻 2 号 p. 112-117
レミエール症候群は頭頸部領域の感染が内頸静脈の血栓症を引き起こし、肺・関節などの転移性感染巣や敗血症に至る疾患群である。診断が遅れると重篤化するため、早期に診断し治療を開始することが重要である。患者は 30 歳の男性、扁桃周囲膿瘍に続発する内頸静脈血栓、肺の感染性塞栓を認めた。今回われわれが用いた山本・杉浦らの診断基準は、内頸静脈の血栓があれば血液培養の結果を待たずに本症と診断することが可能であり、迅速な診断に有用であった。近年、抗菌薬の使用量減少に伴ってレミエール症候群が再び増加傾向にあるとの報告がある。本邦においても、薬剤耐性対策アクションプランにより抗菌薬の使用は厳格化してきており本疾患が増加する可能性がある。頭頸部領域の感染では本症に進行する症例もまれながら存在するため、急性咽頭炎などに抗菌薬を使用しない場合には十分に経過観察をする必要がある。