2021 年 67 巻 2 号 p. 75-86
問診票を使用し、患者希望に沿った抗ヒスタミン薬を処方することが、花粉症患者の満足の向上および症状改善につながるかを検討した。対象症例は、12 歳以上のスギ花粉症 121 例である。問診票を使用しなかった前年に比べ、問診票を使用することにより満足度上昇が得られた(治療満足率 78%)。症状改善については、初診群と再診群に分けて検討したところ、花粉飛散ピーク期(p < 0.05)、および花粉飛散後期(p < 0.01)において再診群の方が鼻症状スコアの低下を認めた。また、日常生活支障度も花粉飛散後期において再診群の方がスコアの低下が認められた(p < 0.01)。また、再診 37 例について、治療前と再診時の鼻症状スコアを比較したところ、有意に改善が認められた(p < 0.05)。問診票を活用することにより患者満足度が向上し、さらに治療効果も得られることが示された。また、複数の非常勤医師による診療形態であっても、96%の患者に対し治療方針を統一することができた。