2021 年 67 巻 3 号 p. 143-148
65 歳以上の高齢者に、薄切軟骨併用の鼓膜形成術を 18 例に施行し治療成績の検討を行った。麻酔法は局所麻酔で、移植片は側頭筋膜と軟骨膜付き薄切軟骨を併用し、鼓膜上皮層と鼓膜固有層の間に inlay した。穿孔閉鎖率は 94.4%で、日本耳科学会の術後聴力成績判定基準での成功率は 83.3%であった。移植片においては、軟骨膜付き薄切軟骨の軟骨膜部分が、鼓膜固有層にかかるように移植することで、薄切軟骨部分が鼓室内に脱落しないようにした。軟骨部分は壊死することが少ないため、鼓膜形成時の足場となり、同時に inlay 法のため鼓膜上皮層と鼓膜中間層の両面から移植片に血流が入り、良好な上皮化が得られた。本法は局所麻酔を採用したことを含め、安全かつ有効な治療法の一つであると考えられた。