2021 年 67 巻 5 号 p. 307-312
血液疾患に伴う鼻出血は止血困難な上に、急変の可能性があり早期診断が重要である。出血傾向の身体所見として紫斑が広く知られているが、鼻出血診療において紫斑の確認はあまり活用されていない。鼻出血を主訴に受診し、紫斑が診断の一助となった血液疾患 5 例について報告する。症例 1:71 歳男性、急性骨髄性白血病。症例 2:71 歳男性、悪性リンパ腫に伴う血小板減少性紫斑病と左鼻腔の神経線維腫。入院後に出血性ショックと敗血症で急死した。症例 3:72 歳男性、血小板減少性紫斑病。症例 4:2 歳 10 カ月男児、血小板減少性紫斑病。症例 5:2 歳 9カ月女児、ループスアンチコアグラント陽性低プロトロンビン血症。鼻出血診療において紫斑の確認が推奨される。