凝固第ⅩⅢ因子(以下 F13)は凝固反応の最終段階でフィブリン同士を架橋結合させ機械的な抵抗性をもたらす。F13 が欠乏すると組織の修復が進む前に血栓が溶解されるためいったん止血した半日以降に同部位に出血を来す。F13 は侵襲が大きい手術にて多く消耗されるといわれている。今回われわれは、2012 年から 2020 年までに頭頸部手術後に F13 活性を測定した 16 例の特性を後ろ向きに解析した。16 例のうち 10 例(62.5%)にて F13 活性の低下を認めた。当科で経験した症例においても、手術中の出血量が多い症例にて F13 活性が低下する傾向にあり、F13 活性低下群は 8 例中 4 例で全身麻酔下の再手術を要していた。F13 についての知識は耳鼻咽喉・頭頸部外科医にとって必要不可欠であり、啓発が望まれる。