2022 年 68 巻 3 号 p. 153-162
好酸球性副鼻腔炎に対し、ステロイドを用いた保存的療法の有効性について検討した。保存的治療群(15 例)と内視鏡下副鼻腔手術(ESS)群(22 例)の 2 群に分け、鼻茸スコアの改善度、鼻閉スコアの改善度、嗅覚障害の改善度について後ろ向きに検討し、2 群間の治療結果の比較を行った。保存的治療群において治療前と治療後の鼻茸スコアを比較したところ、左右ともに有意に改善が認められた(p < 0.001)。また、鼻閉スコアも同様に有意に改善が認められた(p < 0.001)。嗅覚障害に対しても保存的療法のみで、15 例中 6 例(40%)に寛解が得られ、8 例(53%)に改善が得られた。保存的治療群と ESS 群の 2 群間には嗅覚障害の改善については治療間の差は認めなかったが、鼻茸スコアと鼻閉スコアは、ESS 群の方が改善度が良好であった。好酸球性副鼻腔炎に対し、ステロイド点鼻、吸入薬の鼻腔呼法、内服を組み合わせることにより、鼻閉や嗅覚障害に対し、保存的治療のみでも治療効果が得られることが示された。