2023 年 69 巻 6 号 p. 419-426
悪性リンパ腫はリンパ系組織に発生するリンパ系細胞の悪性腫瘍の総称である。ほかの頭頸部悪性腫瘍や炎症性疾患に類似した臨床像を示すことがあり、さらに気道閉塞を来すこともあるため、迅速かつ適切な診断や治療が必要である。悪性リンパ腫の臨床像を把握し、より適切に治療方針の決定を行うことを目的とし、2016 年から 2021 年までに当科を受診し、頭頸部領域の症状を有し、病理学的に悪性リンパ腫の診断を得た患者 163 例について臨床病理学的検討を行った。年齢中央値は 71 歳で、男性 74 例、女性 89 例であった。生検部位はワルダイエル咽頭輪 42 例、頸部リンパ節 103 例、鼻・副鼻腔 10 例、唾液腺 2 例、甲状腺 2 例、その他下咽頭/喉頭 3 例であった。sIL-2R と LDH の中央値はそれぞれ 1,956 U/㎖、258 U/ℓといずれも高値であった。また、初診時に呼吸苦を認めた 2 例について報告した。いずれも病変による気道狭窄を来しており、確定診断後の治療開始では致死的になり得ると考えられ、血液内科と協議し病理組織検体採取後に確定診断前からステロイド治療を始め、確定診断、治療へとつなげることができた。頭頸部領域の悪性リンパ腫は進行が早く気道閉塞など致死的になり得る症例もあるため、迅速な診断、治療方針決定のためには組織診断だけでなく sIL-2R や LDH などの検査を行うことが重要であり、また他科と連携を図る必要があると考えられた。