耳鼻と臨床
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症例報告
咽頭後間隙原発滑膜肉腫の 1 例
前田 耕太郎大野 純希岡野 慎士西 秀昭熊井 良彦
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2024 年 70 巻 2 号 p. 84-89

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抄録

背景:咽頭に発生する悪性腫瘍の多くは扁平上皮癌に代表される上皮由来の癌であるが、まれに粘膜下原発の悪性腫瘍を認める。今回われわれは下咽頭粘膜下原発の滑膜肉腫の 1 例を経験したので報告する。症例:50 歳、男性。咽頭痛を主訴に前医を受診した。画像検査で咽頭後間隙膿瘍を疑われ、経口的切開排膿術が施行されたが、術中、咽頭後間隙に充実性の病変が認められ組織生検が施行された。後日、滑膜肉腫の確定診断に至り当科紹介となった。悪性度が高く、十分な安全域の確保が必要と考え咽頭喉頭頸部食道摘出術を施行した。その後、早期に肺転移を来し、肺病変に対して複数回切除を追加し、化学療法を継続したが制御不能となり初回手術から約 5 年で原病死した。結論:咽頭粘膜下に発生する悪性腫瘍は発見が難しく、咽頭関連の主訴では常に鑑別として本疾患も考慮し早期の画像診断を積極的に検討するべきである。

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