2024 年 70 巻 2 号 p. 78-83
鼻・副鼻腔領域には、皮膚や粘膜、軟骨など多彩な組織があり、これらを発生母地とする多彩な良性・悪性腫瘍が発生する。採血や免疫染色、染色体検査では診断がつかないことも少なくない。本症例では上咽頭腫脹に対して複数回生検を施行し HE 染色や免疫染色、フローサイトメトリーおよび染色体検査を行ったところ悪性リンパ腫が疑われたものの、確定診断には至らなかった。そこで遺伝子検査を行ったところ末梢性 T 細胞リンパ腫・非特定型の診断となった。悪性リンパ腫が疑われる場合にはその他疾患の鑑別を行った上で、遺伝子検査を行い TCR monoclonality の検索が役に立つ可能性がある。