国立病院機構九州医療センター耳鼻咽喉科で 2016 年 9 月から 2022 年 3 月に甲状腺疾患に対して手術を施行した 182 例を対象として、年齢、性別、疾患(良性腫瘍、悪性腫瘍、バセドウ病)、術式(甲状腺片葉切除術、甲状腺全摘術、郭清を伴う甲状腺全摘術)と術後合併症(後出血、副甲状腺機能低下、反回神経麻痺、リンパ漏)の発生率の関連について後方視的に検討した。全 182 例のうち術後合併症の発生率は、後出血が 3.3%、副甲状腺機能低下が 19.8%、反回神経麻痺が 8.2%、リンパ漏が 1.6%であった。後出血では疾患別には悪性腫瘍とバセドウ病でみられ、術式別では甲状腺全摘術で頻度が高かった。副甲状腺機能低下に関しては、疾患別では悪性腫瘍とバセドウ病、術式別には甲状腺全摘術と郭清を伴う甲状腺全摘術で頻度が高かった。反回神経麻痺については疾患別には悪性腫瘍とバセドウ病、術式別には甲状腺全摘術と郭清を伴う甲状腺全摘術でリスクが高かった。リンパ漏については胸管近傍の郭清が高リスクであると考えられた。術前に悪性腫瘍が疑われる症例では特に、十分な術前説明と丁寧な手術操作が必要である。