2024 年 70 巻 5 号 p. 267-271
鼻中隔膿瘍は、鼻閉や発熱などの非特異的な症状を引き起こすまれな疾患である。診断が遅れると、鞍鼻のような外鼻の変形、頭蓋内感染、敗血症などの重篤な合併症を引き起こす。従って、早期の診断と治療開始が重要であり、今回われわれは鼻中隔膿瘍の 2 例を経験したので報告する。2 例とも鼻中隔前部に膿瘍形成を認めた。膿瘍の切開・排膿と抗生物質の全身投与により症状は改善した。症例 2 では膿瘍の再発がみられたが、抗生物質の再投与により治癒した。これら 2 例の膿瘍からは原因菌は同定されなかった。両症例とも潰瘍性大腸炎を併発していたことから、潰瘍性大腸炎の合併症としての無菌性膿瘍の可能性が示唆された。