2024 年 70 巻 5 号 p. 272-277
血瘤腫は鼻副鼻腔において出血と炎症により腫瘤形成した病変の総称である。膨隆性で緩徐な増大を示し、時に骨破壊を認めることから、悪性腫瘍との鑑別が必要である。術前の生検だけでは確定診断に至らないが、特徴的な画像所見を示すため、臨床像と合わせることで術前診断が可能なことがある。不必要な拡大手術を回避するためには、正確な術前診断が重要である。治療方法は外科的摘出術であり、完全切除できれば予後は良好とされる。ほとんどの場合上顎洞に発生し、蝶形骨洞の発生は極めてまれである。今回われわれは内視鏡下経鼻手術で摘出し得た蝶形骨洞血瘤腫の症例を経験した。蝶形骨洞に発生した腫瘍の場合、重要な臓器が近接しており、拡大切除は困難である。完全切除のためには、術前診断および血管造影による血流評価に基づく十分な手術計画が重要である。