2025 年 71 巻 1 号 p. 22-27
症例は 70 歳代、女性。左鼻閉を主訴に当院を紹介受診した。初診時、左鼻腔内に易出血性の腫瘤を認めた。この鼻内腫瘍に対して生検を行ったところ、鼻腔癌(cT1N0M0)の診断を得た。初回手術においては、鼻腔腫瘍を把持したところ意図せず腫瘍が全摘出され、基部の同定はなし得なかった。外来で経過観察を行っていたところ、初回切除から 2 年後に健側の鼻中隔に基部を持つ有茎性の腫瘍が確認された。生検の結果、再発の癌と診断された。再手術では鼻中隔病変基部に十分な安全域を設けた切除を行った。術後照射は行わず、外来において経過観察を行っており、再手術から 3 年の時点で再発転移を認めていない。近年、鼻腔癌治療においては内視鏡手術の適応拡大が盛んであるが、鼻中隔癌は鼻内内視鏡下切除の特に良い適応であると考えた。