高音域のピッチ障害において、甲状軟骨形成術Ⅳ型の音声改善効果について音響学的および空気力学的パラメータを比較し、後方視的検討を行った。症例は当科で2014年から2021年に手術を施行した8例で、ピッチ障害の原因は、甲状腺手術後4例、外傷性1例、特発性3例であった。術前後で話声位、最高音、声域の周波数は上昇し(p < 0.05)、平均VHIは有意に改善した(p < 0.05)。最低音は有意に上昇したとはいえなかった(p = 0.363)。症例の中には、話声位の上昇と声域の拡大を得た一方で、最低音が維持された症例もあった。甲状軟骨形成術Ⅳ型は、特に高音域発声障害を有意に改善できる手術法である可能性が示された。ピッチの調整には、輪状甲状筋(前筋)による、声帯伸長に伴うtension上昇のみならず、甲状披裂筋(内筋)活動によるstiffnessの修飾が相互に関連しているものと考えられる。