2025 年 71 巻 5 号 p. 255-262
左披裂部開大障害症例に対し、CTで左披裂軟骨骨化ならびに左輪状披裂関節内側に及ぶ骨化を確認した。また輪状披裂関節内側の骨化部位から喉頭内側へ隆起した半球状の軟部腫瘤を認めた。腫瘤は左声門下後壁に限局し、基底部断面積は約8 mm2であり、同部位で披裂軟骨が内転位で輪状軟骨と癒着していることが示唆された。しかし甲状軟骨低骨化部から機能的喉頭超音波検査(FLUS)を実施し、左披裂軟骨のRotating、Rocking、Glidingを確認したことから輪状披裂関節固着を否定した。以上の結果から、関節固着は認めないが、披裂軟骨体部内側の腫瘤部で軟骨周囲組織が癒着していることが示唆された。音声治療を実施し、声帯開大制限所見の改善は認めなかったが、声門閉鎖が良好となり嗄声が改善した。CTとFLUSを併用することにより声門後部癒着症の診断、癒着部位の同定と輪状披裂関節固着の否定が可能であった症例を経験した。