2026 年 32 巻 p. 217-222
令和元年東日本台風により栃木県内の13河川27か所において決壊や氾濫が生じた.特に蛇行の大きな中小河川においては,上流側の決壊に伴う氾濫流が河道に戻る地点や,そのすぐ対岸の堤防でも決壊が生じるなど,ひとつの河川の近い範囲で連鎖的に決壊や溢水が生じた.本論文では,氾濫戻り流れが生じるすぐ対岸側における堤防の決壊の進行に着目し,決壊幅の変化に応じて,氾濫流が堤内地から流入する地点から対岸側に向かう流況がどのように変化するのか水理模型実験により明らかにした.氾濫原からの戻り流れが河道に入ることで,対岸に流速の大きな領域が形成された一方,対岸側の決壊により,流れが再氾濫することで対岸に沿った蛇行河道内の流速は若干低下し,流速が大きくなる範囲も狭くなった.また,対岸決壊により河道から氾濫原へ再氾濫すると,河道内の高速流の向きが対岸堤防方向を向き,決壊部下流側の側壁端部に向かうように流れ,水衝部となって浸食を促す流れになることが分かった.