耳鼻と臨床
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[第14回頭頸部癌懇話会:甲状腺分化癌治療の問題点]甲状腺癌に対する化学療法の文献的考察
犬山 征夫
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1990 年 36 巻 5Supplement4 号 p. 922-927

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抄録

甲状腺癌の化学療法について文献的考察を行い下記の結果を得た.
1. 単剤化学療法としてはADRがもつとも実績があり第1選択の薬剤といえる. その他, BLM, ACR, CDDP, VP-16も有用である.
2.多剤併用療法ではADR+CDDPがもつともよく用いられておりCR率も高い, またADR+VCR+BLMも有用である.
3.組織型別効果では髄様癌がもつとも奏効率が高く, 次いで分化癌, そして未分化癌の順である.
4.responderにおける効果の持続期間または生存期間の中央値はnon-responderに比べてはるかに長い.
5.局所進展癌に対するADRと照射の同時併用療法の局所制御率は著しく高い.
6.扁平上皮癌および未分化癌のM0症例に対する手術+照射+化学療法による集学治療は今後期待される.
以上の結果を踏まえて甲状腺癌に対する化学療法の適応と役割についても述べた.

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