耳鼻と臨床
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音響性瞳孔反応による自律神経機能の評価の試み
平野 哲雄井上 裕章上村 卓也
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1991 年 37 巻 5Supplement6 号 p. 1261-1265

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抄録
音刺激による瞳孔散大反応を測定した. 測定した15名の正常者全員に, 瞳孔散大反応が認められた. 4人は1相性, 11人は2相性の反応を示した. 第1波潜時は400~570 msec, 第1波peak潜時は700~1060msec, 第2波peak潜時は1200~1710msecであつた. 左右眼の反応は同じ型を示した.
交感神経末梢遮断薬点眼によつて, 第2波は明らかに抑制されたが, 第1波はほとんど影響を受けなかつた. このことより, 第2波は主に末梢交感神経の興奮による成分, 第1波は主に副交感神経の抑制成分によるものと考えられた.
以上のことより音響性瞳孔反応には, 2相性の交感神経反応の強い例と1相性の交感神経反応の弱い例があるといえる.
今後音響性瞳孔反応をメニエール病患者の自律神経検査に応用することを計画している.
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