めまい発現に対する自律神経系の関与を脳循環の立場から検討した. 一側性の脳幹・小脳血管障害患者33例と同年齢層の健常者48例を対象とし, 血行力学的自律神経機能検査を実施した. 定型的および非定型的めまいを有した群はAschner試験で病巣側, 非病巣側ともに低反応を示した. 一方, 両めまい群は頸動脈洞マッサージ試験, 寒冷昇圧試験では反応性低下を認めなかつたが, 病巣側と非病巣側間で反応性に差がみられた. つぎに, サルを用いて椎骨脳底動脈系と内頸動脈系の循環動態を検討した. 前者は後者に比較し, 血圧変動に対する血管反応性 (脳循環自動調節能) は劣つていたが, PaCO
2変動に対する血管反応性 (脳循環化学調節能) はより良好であつた.
以上の成績から, 脳幹・小脳循環障害に起因するめまいには, 自律神経機能低下と左右の不均衡, および椎骨脳底動脈系の特殊な血管反応性が深く関与すると考える.
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