1992 年 38 巻 2 号 p. 107-110
頸部より喉頭にまで進展し, 著明な呼吸困難をきたした叢状神経線維腫の稀な1例を報告した. 頸部腫瘍の中で神経原性腫瘍は多くはなく, その大部分は神経鞘腫で, 神経線維腫は更に少ない. 叢状神経線維腫は神経線維腫の1型であるが, その多くがvon Recklinghausen病の1症状としてみられ, 単発性のものは少ない. 本腫瘍の肉眼的及び病理学的所見より, von Recklinghausen病に随伴しない叢状神経線維腫と診断した.
腫瘍は完全に摘出され, 神経の脱落症状を呈さなかつた.