耳鼻と臨床
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一側聾におけるプロモントリーテストの聴覚心理学的反応の検討
柊山 幹子松浦 宏司永田 祐子森満 保
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1992 年 38 巻 2 号 p. 94-99

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抄録

内耳の電気刺激によつて生じる聴覚心理学的反応を明らかにするため, 知覚の表現が対側耳の聴覚との比較によつて容易と思われる一側聾12耳にプロモントリーテストを行つた. その結果, 9耳に明らかな音感覚が生じ, 残りの3耳に音なのか音でないのか表現困難な感覚が生じた. 刺激周波数あるいは刺激強度が増加したとき, 7耳に痛覚などの体性感覚が生じた. 不快域値は音が大きすぎる場合と痛覚などの感覚が生じる場合の 2種類であつた. また, パルス周波数別のピッチ感覚の差は非常に小さく, その識別はこのような対象者にとつて容易でないと推察された.
表現困難な感覚を生じた3耳は長期失聴の原因不明一側聾と両側性特発性難聴であつた. 人工内耳の適応決定にあたつて失聴原因の明確な耳は, プロモントリーテストが同等に陽性と判断されても失聴原因の不明確な耳より手術の適応性が高いことが示唆された.

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