抄録
鼻副鼻腔悪性腫瘍3症例においてそれぞれ異なつた頭蓋底合併切除術を行つた. それらのアプローチ法, 再建法を報告した.
1例目は篩骨洞原発乳頭状腺癌で, 外鼻錐体翻転術に加え, Medial maxillectomyおよび経前頭洞的前頭開頭を行つた. 再建にはPericranial flapおよび遊離植皮を用いた.
2例目は鼻腔原発腺様嚢胞癌で, 顔面からは頬骨・上顎口蓋骨・鼻骨の骨切りによりアプローチし, さらに側頭開頭を行い腫瘍を摘出した. 頭蓋底死腔は側頭筋にて充填し, 骨切りを行つた顔面骨はすべて整復固定した.
3例目は鼻腔篩骨洞原発扁平上皮癌で, 鼻骨, 対側眼窩壁内側, 対側上顎洞内半側, 顔面皮膚さらに前頭蓋底を含む拡大上顎全摘術を行い, 頭蓋外板, 大腿広筋膜および遊離腹直筋皮弁にて再建を行つた.
いずれの症例も術後重篤な合併症なく, 順調に経過している.
