抄録
MRIによりT2強調像で高信号を呈する橋部信号例254例を検出し, MRIおよびMR angiography (MRA) を用いてその臨床的意義を検討した. 橋部高信号例は症候性のものが66例, 眩暈のような一過性の不定愁訴例が62例認められた. 橋部高信号例では, MRI におけるテント上の高信号域の合併, MRAにおける脳底動脈蛇行, 椎骨動脈左右差の頻度がいずれも橋部に異常影を認めない対照例より多かつた. MRI上の橋部高信号は広汎な動脈硬化を基盤にして出現する画像上の異常所見で, MRAは眩暈などの補助検査として有用であると考えられた.