遺体脳を用いて椎骨脳底動脈系の血管走行の観察, 内頸動脈 (ICA) と椎骨動脈 (VA) の血管径の計測を行い, 加齢による血管径の変化を検討した.
1. 前下小脳動脈 (AICA), 後下小脳動脈 (PICA) の分枝のvariationは8種類に分類できた. VA, ICA共に血管径は左側のほうが太かつたが加齢による変化は認められなかつた.
2. 加齢による血管壁の肥厚, 血管内腔の狭小化はVAで著明に認められた. 血圧が一定の場合, 椎骨動脈系の血流量は内頸動脈系の血流量に比して減少し, また椎骨動脈系は血圧変動の影響を容易に受け易いことが考えられた.
3. 病理学的観察で, ICA, VAの加齢による血管壁の変化は内膜病変が主で, 内膜の膠原線維の析出, 硝子化が認められた.
4. 高齢者のめまい疾患を考える場合, 加齢による解剖学的変化も考慮し原因を検索する必要があると考えられた.
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