耳鼻と臨床
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人工耳小骨に対するラットの早期皮下組織反応の経過
人工耳小骨に対するラットの早期皮下組織反応の経過
崔 鵬程大崎 勝一郎伊井 邦雄中川 文夫森 聡人天真 覚河田 照茂
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1995 年 41 巻 1 号 p. 42-47

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抄録
Hydroxyapatite (HOAP) と同一組成の人工耳小骨 (APACERAM (®) の小円板をラット肩甲間部の皮下組織内に埋め込み, 対照群と比較した. 1, 3, 7, 14日後にアパセラムを周囲組織とともに採取後, 6μmの脱灰切片はHE, マロリーのアザンおよび PTAH染色で染色した. 組織反応の定量的評価のため, アパセラムの周囲組織における細胞構成の百分率を比較した. 実験群の結果は以下のとおりであつた.(1) 1日後では大食細胞を主体とした炎症細胞浸潤が観察された.(2) 3日後には線維芽細胞が観察され始めた.(3) 7日後にはほとんどすべての炎症細胞は消槌し, 膠原線維形成 (線維細胞) が出現し, 14日後には薄い線維性被膜を形成した. 対照群と比較した上記の所見は, アパセラムの皮下組織に対する化学的刺激は軽微であるが, 物理的あるいは化学的刺激は存続し, その周囲に線維形成が誘発されることを示した. しかし両群における組織反応の経過の比較検討結果から, アパセラムは生体親和性が良好な材料であると考えられた.
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