耳鼻と臨床
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[内耳臨床]インターフェロンによる聴覚障害
外山 勝浩森満 保牛迫 泰明春田 厚東野 哲也林 克裕
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1996 年 42 巻 5Supplement2 号 p. 756-760

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抄録
今回われわれは, IFNによる聴覚障害の発生状況につき調査し, 聴覚障害例については血管性病変などとの関連の有無を脂質の変化から検討した. 対象は1995年4月から12月までの間にIFN治療開始前の純音聴力検査を行った症例の中で, 少なくとも1カ月以上聴力を追うことのできた13例である. 聴力検査で難聴の出現したのは13例中5例であった. 5例中3例は8kHZのみが閾値上昇し, 1例は4kHZが閾値上昇した. また, C5-dipの1例は2kHzが閾値上昇した. 聴覚障害は, 5例中2例で完全に回復し, 3例では聴力が変動しつつも回復傾向にあり, 可逆性であつた. 血栓症の危険因子である血清コレステロールと中性脂肪の変化をみると, コレステロールはほとんどの症例で変化しないが, 聴覚障害例3例中2例で中性脂肪が著明に上昇した. IFNにより生ずる聴覚障害の機序は (1) 内耳循環障害による蝸牛内直流電位の低下 (2) 外有毛細胞への直接毒性 (3) 基底板への脂質沈着による内耳伝音系の障害, などが想定される.
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