耳鼻と臨床
Online ISSN : 2185-1034
Print ISSN : 0447-7227
ISSN-L : 0447-7227
[内耳臨床]内耳奇形症例の検討
牧元 宏市原 次郎牧野 浩二東野 哲也
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 42 巻 5Supplement2 号 p. 766-772

詳細
抄録
われわれは当科において経験した内耳奇形症例14耳について異常の発生学的観察, 奇形と聴力の関係について検討した. 蝸牛が完成する胎生11週までは比較的異常が生じにくく, 胎生11週以降の発生の遅い前庭・半規管が異常を生じやすいと考える. 奇形と聴力の関係は蝸牛の形態異常が骨導閾値の上昇に関与していると考えられる. また発生学的観察と聴力の両面からみると内耳奇形の発生時期が遅れるほど聴力に関しては予後が良い傾向があるといえる.
X線検査 (側頭骨高分解能CT) により可能な形態学的診断には限界があり, 今後は側頭骨の3次元CTなどによりさらに詳細な内耳奇形の部位診断が可能になるものと考えられる.
著者関連情報
© 耳鼻と臨床会
前の記事 次の記事
feedback
Top