耳鼻と臨床
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[内耳臨床]色素性乾皮症A群の神経耳科学的検査所見
西浦 美佐子牛迫 泰明原 由起代笠野 藤彦東野 哲也
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1996 年 42 巻 5Supplement2 号 p. 773-777

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抄録
聴覚障害をきたしたXeroderma pigmentosum (以下XP)-A群3例 (症例1:7歳女児, 症例2:9歳男児, 症例3:5歳男児) を経験した. このうち, 詳細な神経耳科学的検査を行った症例1について難聴の病態について検討を行つた. 純音聴力検査にて左右差のある谷型の感音難聴, 語音弁別能が純音聴力閾値に対して良好, ABRでは左は潜時に延長を認めないなどの内耳性障害の所見を認める. 一方, tone decay検査で疲労現象陽性, eye tracking testではsaccadic movementを示し後迷路性障害の所見も認めた. 症例1は当科にて経過観察中に難聴の急激な進行を認めたが補聴器が有効であつた. 難聴は他の神経症状に比較し進行が急で, 後迷路性の機序も存在するが, 主な病因として内耳性の障害が強く疑われた. XPの症例では聴覚について注意深い経過観察が必要で, 補聴器使用によるQOLの改善, さらに難聴の増悪時にはその治療についても検討が必要であると考えられた.
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