耳鼻と臨床
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虚血性顔面神経麻痺モデル動物組織学的検討I
竹田 節子竹田 泰三齋藤 春雄
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1997 年 43 巻 1 号 p. 38-47

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抄録
われわれが作成した岩様部枝遮断による虚血性顔面神経麻痺動物は, ヒト顔面神経麻痺とよく似た経過を辿る. 今回さらに経時的に組織学的検討を加え, 以下の結果を得た.
1) パラフィン-セロイジン包埋およびエポキシ樹脂包埋による2種の組織標本でFn/Fc比 (顔面神経管に占める顔面神経の面積比) の差を測定すると, 組織収縮のため前者は側頭骨内全域で後者の約1/2になるが, 神経膨化の状態を知るためのよい指標となることが分かった. 2) 神経膨化は遮断後初期では膝部から末梢側に広がり, 3日目から7日目に全域にわたつて最高になる. 以後, 膨化は軽快して, 28日目には中枢側では元に復した. 3) 軽度・中等度麻痺例では, 神経膨化の減弱時期が麻痺の回復時期とほぼ一致した事から, 神経浮腫による伝導ブロックと考えられた. 4) 高度麻痺例では, 髄鞘の変性が著明で, 28日目でも組織変性の回復は認められなかった. このため神経の膨化が消失した後も麻痺は継続した.
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