塩酸エピナスチンのスギ花粉症患者に対する臨床効果を, スギ花粉の本格的な飛散前から投与した群 (飛散前投与群) と飛散後投与群について, ヒノキ花粉飛散時期を含め検討し, 以下の成績を得た.
1. くしゃみ・鼻汁・鼻閉・重症度・眼のかゆみなどの症状の程度は, 飛散前投与群が飛散後投与群に比べ, スギ花粉飛散終了までは低く推移した.
2. しかしながら, ヒノキ花粉飛散の開始とともに, 飛散前投与群で鼻・眼症状の程度が若干高く推移した.
3. 全観察期間中, 流涙の程度は飛散前投与群が飛散後投与群に比し, 低く推移した.
4. 副作用は, 50例中1例 (2%) に総ビリルビンの一過性上昇が認められたが, これも継続投与中に消失した.
5. 有用度は, 有用以上で, 飛散前投与群67% (12/18例), 飛散後投与群75% (6/8例) であつた.
以上の結果より, 塩酸エピナスチンはスギ花粉症に本格的な飛散前より投与することにより症状を軽く抑え, 初期治療に有用な薬剤であると考えられた.
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