耳鼻と臨床
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[第1回頭頸部癌化学療法研究会]急速に不幸な転帰をたどった頭頸部進行癌の3例
吉野 邦俊佐藤 武男藤井 隆稲上 憲一橋本 典子長原 昌萬西谷 茂樹馬谷 克則上村 裕和
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1997 年 43 巻 1Supplement1 号 p. 142-151

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抄録
根治を目指した治療を施行したにもかかわらず, その効果がほとんどみられないか, または治療を完遂できないままに短期間で死亡された頭頸部進行癌3例について呈示した.
症例1は下咽頭癌T4N2cMOで, 上咽頭にまで進展し, 両側のルビエールリンパ節転移が認められた. 術前化学療法, 手術, 術後照射にもかかわらず, わずか3ヵ月後に照射野内の頭蓋底に再発がみられ, 全経過11ヵ月で死亡された. 症例2と症例3は, いずれも内向発育型の舌癌T4N2cMOであり, 原発巣および頸部リンパ節転移の進行度も類似した進行癌であった. 症例2には舌全摘, 両側根本的頸部郭清の拡大手術を行ったにもかかわらず, すぐに広範な再発がみられ2ヵ月で死亡された. 症例3にはまず術前化学療法を行ったが全く無効で, 逆に増大傾向を来たし途中で当初予定していた手術が不能となつて, 3ヵ月で死亡された.
同じ進行癌といっても多種多様な癌があり, 呈示した症例のように極めて悪性度の高い癌の評価法の確立と, これに対する最適の治療法の検討が必要であると思われた.
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