前部節骨洞膿嚢胞に眼窩内骨膜下血腫を伴ったまれな1例を報告した。眼窩内病変の把握には、冠状断CTと再構成矢状断CTが有用であった。前部節骨洞膿嚢胞に対してまず鼻内より開放術を施行し、術後12日目に前部眼窩切開により眼窩内骨膜下の血腫吸引除去を行った。術後17日目に眼症状は完治した。副鼻腔疾患から生じた眼窩内骨膜下血腫の治療法として、一般には、副鼻腔疾患の手術的治療と同時期に前部眼窩切開によるアプローチから眼窩内骨膜下血腫の吸引除去を施行する方法が行われている。しかし今回の症例のように、副鼻腔病変から眼窩内への強い炎症波及が考えられる場合や、眼窩内骨膜下血腫の存在が明らかでない場合には、副鼻腔病変に対する治療を先行する方法も選択すべき方法の一つと考えられた。