耳鼻と臨床
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耳下腺oncocytoma症例の検討
本邦症例の検討とその病理像について
香取 秀明山下 耕太郎澤島 政行福永 昇古川 政樹佃 守
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2000 年 46 巻 2 号 p. 114-118

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抄録

oncocytomaは唾液腺腫瘍に占める割合が1%に満たないまれな腫瘍で耳下腺に最も好発する。今回われわれは耳下腺に発生したoncocytomaの1症例を経験したので文献的考察を加えて報告する。症例は42歳女性で、初診時、右耳下腺部に限局性の腫脹を認めた。超音波検査で右耳下腺内に境界明瞭な腫瘤性病変を認め、穿刺細胞診を行い、oncocytomaを強く疑わせる所見が得られ、右耳下腺浅葉摘出術を施行した。病理所見では、好酸性、顆粒状胞体と核小体明瞭な方形細胞 (oncocyte) が密集し胞巣を形成していた。電顕では細胞質内に器質が淡明で球状のやや小型のミトコンドリアが多数充満しており、クリスタの索状、束状、層状配列が認められ、oncocytomaと確定診断した。現在外来にて定期的に経過観察しているが、再発は認められていない。

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