耳鼻と臨床
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頸静脈球型頸静脈球腫瘍の1例
長谷川 賢作竹内 裕一井川 鋭史松田 英賢
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2000 年 46 巻 4Supplement3 号 p. S119-S123

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抄録

著者らは、約1年前から持続する拍動性耳鳴と1ヵ月前から発症したふらつきを主訴とした52歳女性の頸静脈球腫瘍を経験した。術前顔面神経麻痺はなく、聴力は4分法で気導聴力31.3dB、骨導聴力20.0dBであった。CT、MRIで頸静脈球腫瘍と診断し、栄養血管を塞栓するために血管造影を施行して術中出血をコントロールした後に、聴力保存・外耳道鼓室再建術式で手術を行った。腫瘍摘出の時に顔面神経移動術を併用したたあに、術後の顔面神経麻痺スコアは36/40となった。術中外耳道鼓膜の皮弁を前方に挙上翻転したが、術操作によって一部損傷したために、やむなく筋膜による再建を行った。しかし術後再建鼓膜は虚血による再建鼓膜の肥厚を生じ、術後気導聴力も実用聴力を得ることができなかった。軟性外耳道を完全に保存するinfratemporal approach with external canal reconstructionの手術手技に関して、多少改良の余地があるのではないかと考えた。

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