抄録
多発性の甲状軟骨骨折の整復術を他医で受けたにもかかわらず、不完全な整復であったため「高い声が出せない」という音声障害を来した症例に対し、音声障害を解消するために再手術を行った。再手術の内容として、軟骨骨折部の整復を予定していたが、術中所見で確実な整復が困難と判断し、代わりに甲状軟骨形成術IV型を行った。短縮していた声帯長を長くし、たるんだ声帯の緊張度を上昇させることを目的としていたので、甲状軟骨形成術IV型の原理に適合していると考えた。術後の音声機能検査の結果も改善していた。喉頭枠組みの骨折に対しては、整復術のみならず甲状軟骨形成術も考慮することが重要であると考える。