抄録
鼻腔悪性腫瘍において、神経内分泌顆粒を有する嗅神経芽細胞腫や神経内分泌癌は比較的まれである。過去当科において経験した4症例について報告した。症例1は50歳、男性。主訴は右鼻出血。中鼻甲介と鼻中隔の間に存在するポリープ様腫瘤の免疫組織学的検査はNSE、S-100、EMA、CKが陽性で、神経内分泌癌と診断した。症例2は83歳、女性。主訴は右鼻出血、嗅覚低下。右総鼻道に充満する赤褐色腫瘤の免疫組織学的検査にてNSE、S-100が陽性で、嗅神経芽細胞腫と診断した。症例3は73歳、男性。主訴は右鼻閉、鼻出血。右鼻腔内に充満するポリープ様腫瘤の免疫組織学的検査でNSE、S100、EMA、CKが陽性であり、神経内分泌癌と診断した。これらの3症例と既に報告した1症例を加え診断、治療も含め検討した。