耳鼻と臨床
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喉頭挙上術単独の嚥下機能改善効果について
橋出血による嚥下障害症例から
木村 美和子中嶋 正人田山 二朗
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2004 年 50 巻 3 号 p. 255-259

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抄録
喉頭挙上術が奏効した橋出血の1症例を報告する。症例は58歳の男性で2001年8月右橋出血を来し、以後改善しない嚥下障害を主訴に2002年4月 (発症8カ月後) 当科を受診した。画像検査にて右橋に出血巣が確認され、喉頭ファイバーでは唾液が梨状陥凹や喉頭蓋谷に貯留し、喉頭侵入も認められた。VTR食道透視では喉頭の挙上と前方移動が不十分であり、それに伴う高度の誤嚥が確認された。誤嚥防止のためカブ付きカニューレを装着していたが、気管孔に肉芽が増生していたため、気管孔形成術が必要と判断した。喉頭挙上術には通常輪状咽頭筋切断術を併用するが、気管孔形成術と輪状咽頭筋切断術との創が連続するのを避けるため喉頭挙上術単独とした。喉頭挙上術単独にて嚥下状態は改善したが、長期間に及ぶ嚥下訓練が必要であった。本症例では、より短期間で効果を出すには輪状咽頭筋切断術が必要であったと思われ、今後の検討事項である。
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