耳鼻と臨床
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50 巻, 3 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
  • 山本 英一, 垣内 仁
    2004 年 50 巻 3 号 p. 217-220
    発行日: 2004/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    われわれは交通事故後に頸部膿瘍を生じた症例を報告した。症例は23歳女性で、事故により上顎中切歯が破損して、下口唇に裂創を来した。事故後3日目に、痛みを伴う頸部腫脹が生じ、抗生剤の投与を受けたが、改善しなかった。われわれの病院での初診時には、右頸部が腫脹し、首を左へ傾けた状態で、全体に発赤と圧痛を認めた。また、口臭が強かった。血液検査では炎症反応が強陽性であった。MRIで膿瘍が疑われたため、緊急のドレナージを施行した。抗生剤はクリンダマイシンとピペラシリンの2剤を投与した。細菌培養検査では嫌気性菌であるフソバクテリウムが検出された。人の口腔内や咽頭には多くの嫌気性菌が存在し、口腔衛生が悪い場合は口臭の原因になっている。嫌気性菌が外傷によって粘膜内に深く侵入すると、時として膿瘍を形成する。このため、口臭が強い場合は嫌気性菌の感染を疑って治療すべきである。
  • 小野 剛治, 千々和 秀記, 橋本 清, 中島 格
    2004 年 50 巻 3 号 p. 221-225
    発行日: 2004/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1986年から2002年の17年間に久留米大学病院で入院加療を行った深頸部膿瘍93例について検討を行った。膿瘍の部位を顎下間隙、副咽頭間隙、咽後間隙に分け、縦隔炎の合併、治療法について検討した。顎下間隙膿瘍では保存的加療も考慮に入れるが、副咽頭間隙膿瘍、咽後間隙膿瘍では縦隔炎を来し死亡する可能性があり、迅速な外科的排膿が必要である。
  • 香取 秀明, 佃 守, 石戸谷 淳一, 池田 陽一, 木村 真知子, 廣瀬 正二, 佐久間 康徳, 山本 馨
    2004 年 50 巻 3 号 p. 226-229
    発行日: 2004/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    急性喉頭蓋炎35例の臨床的検討を行った。35例中男性23例、女性12例であった。平均年齢は57.1歳で、発症の季節性は認められなかった。症状は全例咽頭痛があり、嚥下痛、嚥下困難と続き、呼吸困難が37%あった。気管切開は3例 (8.6%) で施行され、致死例はなかった。喉頭ファイバー所見にて、喉頭蓋が高度に腫脹し、披裂部まで腫脹している症例は気管切開を必要とされる場合が多く認められ、より厳重に呼吸状態を観察する必要があると思われた。
  • 山下 弘之
    2004 年 50 巻 3 号 p. 230-235
    発行日: 2004/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1) スギ花粉の本格飛散前から、塩酸オロパタジンの初期療法を始あることにより、本格飛散が開始した後にも症状の重症化を防ぐことが可能であった。2) 飛散開始後に投薬を始めた治療投与群との比較において、初期療法群が、症状の重症化を抑える傾向を認めた。3) 特に、症状スコアに薬剤投与状況を加味したsymptom medication scoreにおいて、その傾向は顕著であった。
  • 山下 弘之, 菅 孝文
    2004 年 50 巻 3 号 p. 239-243
    発行日: 2004/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    頭部外傷による脳神経麻痺によって嚥下障害および音声障害を来した症例を経験したので報告する。症例1は58歳の男性で2000年2月9日に作業中に転落し救急病院に入院した。事故後6日目に嚥下障害と音声障害が出現したため大学病院の神経内科を受診し、外傷性の下位脳神経麻痺と診断された。2月21日に済生会福岡総合病院脳外科に転院し2月28日に当科を受診した。初診時に両側の軟口蓋麻痺と両側の喉頭麻痺および舌運動の制限を認めた。5月22日に当科に入院し、5月26日に全身麻酔下に左の披裂軟骨内転術および左の輪状咽頭筋切断術を行った。術後に嚥下障害および音声障害の改善を認めたため6月9日に退院した。症例2は52歳の女性で2002年11月18日に作業中に転落し救急病院に入院した。事故直後から嚥下障害と音声障害を自覚し、2003年3月12日に当科を受診した。初診時に開放性鼻声と気息性さ声を認めた。また所見では左の軟口蓋麻痺と左の喉頭麻痺を認めた。3月27日に当科に入院し、4月4日に左の披裂軟骨内転術および両側の輪状咽頭筋切断術を行った。術後に嚥下障害と音声障害の改善を認めたため5月6日に退院した。
  • 兵頭 政光, 山形 和彦, 杉本 晃, 寺岡 正人
    2004 年 50 巻 3 号 p. 244-247
    発行日: 2004/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    治療に抵抗する難治性の嚥下障害を呈した77歳、男性の皮膚筋炎症例を報告した。本症例では咽頭収縮筋の機能不全と食道入口部の開大障害が高度で、ステロイド治療により全身症状および血液検査所見は改善したにもかかわらず、高度の嚥下障害が持続した。種々の嚥下訓練に加えて輪状咽頭筋切断術を行ったが嚥下機能を改善するには至らなかった。本症例の経験より皮膚筋炎における嚥下障害の病態について考察を加えた。
  • 安達 一雄, 梅崎 俊郎, 松山 勝哉, 小山 徹也, 山本 智矢
    2004 年 50 巻 3 号 p. 248-254
    発行日: 2004/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    ウイルス感染によると思われた多発性の単神経炎を原因とする嚥下障害の1例を経験した。症例は65歳女性。嚥下性肺炎を来したため、当科紹介となった。透視上混合性誤嚥を伴う高度嚥下障害を認め、喉頭挙上の制限、および咽頭クリアランスの低下、右咽頭筋麻痺、咽頭知覚の低下、右声帯麻痺を認めた。そのため、全麻下に喉頭挙上術、輪状咽頭筋切断術、咽頭縫縮術、披裂軟骨内転術、気管切開術を行った。術後、透視上誤嚥はほとんど消失し、経口摂取も可能となった。ビデオ透視による病態の評価とそれに基づく治療方針の決定が重要であると思われた。
  • 橋出血による嚥下障害症例から
    木村 美和子, 中嶋 正人, 田山 二朗
    2004 年 50 巻 3 号 p. 255-259
    発行日: 2004/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    喉頭挙上術が奏効した橋出血の1症例を報告する。症例は58歳の男性で2001年8月右橋出血を来し、以後改善しない嚥下障害を主訴に2002年4月 (発症8カ月後) 当科を受診した。画像検査にて右橋に出血巣が確認され、喉頭ファイバーでは唾液が梨状陥凹や喉頭蓋谷に貯留し、喉頭侵入も認められた。VTR食道透視では喉頭の挙上と前方移動が不十分であり、それに伴う高度の誤嚥が確認された。誤嚥防止のためカブ付きカニューレを装着していたが、気管孔に肉芽が増生していたため、気管孔形成術が必要と判断した。喉頭挙上術には通常輪状咽頭筋切断術を併用するが、気管孔形成術と輪状咽頭筋切断術との創が連続するのを避けるため喉頭挙上術単独とした。喉頭挙上術単独にて嚥下状態は改善したが、長期間に及ぶ嚥下訓練が必要であった。本症例では、より短期間で効果を出すには輪状咽頭筋切断術が必要であったと思われ、今後の検討事項である。
  • 松本 州司, 中平 光彦, 中谷 宏章, 竹田 泰三
    2004 年 50 巻 3 号 p. 260-263
    発行日: 2004/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1999年から2003年までの5年間に嚥下障害症例8例に対して喉頭挙上術を施行した。手術は甲状軟骨舌骨下顎骨固定術、舌骨下筋切断術、輪状咽頭筋切断術を基本とし、症例により声帯内方移動術を併用した。術後全例でおおむね良好な結果が得られた。特に頭頸部腫瘍手術に伴う例では著明な改善が得られ、脳血管障害例では症例により改善の度合いが異なっていた。嚥下訓練などの保存的治療で改善の得られない高度の嚥下障害例に対しては、積極的に喉頭挙上術を中心とした手術的治療を考慮することがQOLの面からも望ましいと考えられた。
  • 杉浦 淳子, 藤本 保志, 中田 誠一, 中島 務
    2004 年 50 巻 3 号 p. 264-267
    発行日: 2004/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    脳神経外科的もしくは頭頸部外科的治療後に混合性喉頭麻痺による嚥下障害を呈した症例に対し、保存的治療を実施した4例の経過を報告する。術後、離床困難な段階からベッドサイドにて訓練を開始し、間接的訓練および頸部回旋を中心とした代償嚥下を実施した結果、4例中3例で全身状態が改善するとともに経口摂取が可能となったが、1例では全身状態の改善が見られず摂食訓練に至らなかった。今回の経験から、外科的治療後の損傷脳神経に明らかな回復が見られない場合でも保存的治療が有効な症例があることを再確認できたが、術後の全身状態の安定が治療法選択の重要な因子であると考えられた。
  • 藤島 一郎
    2004 年 50 巻 3 号 p. 268-270
    発行日: 2004/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    嚥下障害は(1)栄養障害、脱水(2)誤嚥(3)食べる楽しみの喪失が主に問題となる。経管栄養は患者を栄養障害と脱水から守るための重要な手段である。適切に用いることで全身状態を改善し、嚥下治療に好影響を与えることができる。経管栄養は腸からの吸収という生理的な機序に基づくものであり、消化管機能に問題がなければ点滴による水分栄養補給より栄養学的に優れている。
  • 2004 年 50 巻 3 号 p. 271-278
    発行日: 2004/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
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