抄録
下咽頭癌が食道癌と重複する頻度が高いことはよく知られている。特に同時性重複癌の場合、その治療方法に難渋することがしばしばある。今回下咽頭・食道同時性重複癌のうち下咽頭早期癌、食道進行癌に対して、喉頭温存を目的とした一治療方法を提示した。下咽頭癌、食道癌治療後に一度盲端にしておいた食道と胃管を二期的に食道胃管端々吻合を行うという方法である。重度の基礎疾患を有する5症例に対し本治療方法を行い、全例合併症なく治療を完遂できた。本治療方法は喉頭温存が可能であり、かつ下咽頭癌、食道癌両方に対して根治治療が行える有効な治療方法である。